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ようやく3人は視聴覚室の前までやってきた。
視聴覚室はどこか不思議な空気をもっていて、何かがゆがんでいるような感じがする。
だから3人はあまりこの場所が好きではなかった。
「この部屋気持ちわりーんだよなあ」
「早く荷物おいてかえろ?」
「電車ないじゃん」
「じゃあ、何か食べにいこう!」
「腹へったー!!」
しんと静まり返っていたこの部屋は3人がにぎやかに入ってくることで一気に別の空間になってしまったように思えた。
だがしかしこの部屋の歪みのような、一歩足を踏み入れると頭がぐらぐらするのはやむことはない。
急いで準備室の方向までいくと、3人はその中へと足を踏み入れた。
中には山積みの教材が無造作に陳列されている。
「どこにおくんだっけ?」
「たしかね、あっちの窓際だよ」
「ユリナしっかりしろ…うわっ」
ついさっき言われたことであるのにもうすでに忘れてしまったのかユリナが問うと、カノンは答えナナミは可笑しそうに笑う。
笑い出した瞬間に、動作が大きすぎてしまったのかナナミは教材の山へとぶつかってしまった。
もちろん教材はがらがらと崩れ去り……。
「ナナミの方がしっかりしろよ!」
「うるせーユリナ」
「まあまあ、ナナミ怪我は?」
「カノンはやさしーっ」
あたりには教材が無残にも散らばっていた。
そんな様子をけらけらと甘い声で笑うユリナをナナミはにらみ、そんな2人をなだめるように言うカノン。
増えてしまった仕事を見つめナナミは小さくため息をつき、その教材たちを拾い始めた。
それをカノンも手伝う。
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