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「……ごめんなさい」
大人しく医務室に連行された百合は、蓮の手で治療されながら小さく呟いた。
「嫌な思い、させて……ごめんなさい」
無表情のまま、しょん、と雰囲気だけでしょげる百合の頭をポンポンと撫で、蓮は小さく苦笑した。
「百合が、俺のためを思ってやってくれたってことは、分かってっから」
「でも、蓮、ちゃんと考えてたのに」
「百合には伝えてなかったからな」
蓮の言葉に、百合はそっと顔を上げた。
そのまま立ち上がり、向かい合わせに座っていた蓮の膝の上に腰を下ろす。
「蓮、ギュッて、してみて」
蓮の首に腕をからめて抱きつく百合を、蓮は条件反射で抱きしめる。
体温の低い百合の体はひんやりとしていて、でも確かな鼓動が小さな体から伝わってきた。
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