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スマートフォンがまだ無かった時代だったかな｡ フィーチャーフォン､つまりガラケーが『携帯』という名で親しまれていた頃だ｡
LINE？ そんなの無いよ｡ Twitterとかfacebookも日本にはあまり広がって無かったね｡ ああ､モバゲーは出来たばかりだったか｡
とにかくそこまで昔じゃない昔さ｡ 全国的な規模で､ぽつり､ぽつりと犯人が分からない強盗殺人事件が起きるようになったのさ｡
３ヶ月に１件くらいのペースだったと思うよ｡ 関東――首都圏から始まり､関西をぐるりと回って東北へ｡ 北は青森､南は山口｡
本州をぐるりと回るように､１人､また１人と殺されて､主に現金と食品が盗まれていた｡
警察は､盗んで行く物から生活に困っている者の犯行だって事は特定したんだけれど……犯人は用心深く､賢い奴でね｡ 遺留品どころか髪の毛１本､指紋の１つも残ってないわ､周りの防犯カメラには映らないわ､目撃証言も出ないわで､肝心の犯人像までは特定出来なかった｡
生活に困っている者なんて､数えきれないくらいいるしね｡
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