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照りつける太陽の季節も終わりを迎え、風が次第に涼しくなってきた。
永遠と続くような緑の大地は次第に金色へと変わっていく。
それを見るのが好きだった。
こんな美しい光景が見れるなんて、一年苦労してきた甲斐があるというものだった。
朝日がゆっくりと天高く舞い上がっていく。
それに向かって伸びをすると、足下をせわしなく鶏たちが走り回っていった。
朝の訪れは等しく、村人たちを目覚めさせていく。
その後ろで、小さな声が聞こえてきた。
「ふふっ」
肩越しに後ろを見てみると、家の玄関から眠そうに目をこする息子の姿があった。
「ママ、おはよう……」
「おはよう。エリクス」
まだ、ふらふらっとしながら歩いている。
我が息子ながら、朝が弱い。
全く変なところだけ似てしまったと、彼女は嘆息した。
「ふふっ、よく眠れた?」
「ん~、よくわからない」
そう言いながら、彼は大きな大きな欠伸をした。
「こら、欠伸をするときは口元を隠しなさいっていつもいっているでしょう?」
「は~い」
そう生返事をするものの、もう一度大きな大きなため息を漏らす。
やれやれと、彼女は肩をすくめる。
いつだって彼はマイペースなのだ。
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