一羽 金色の園

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 朝食を息子に食べさせると、彼女は再び金色の麦畑まで戻っていった。  収穫までもう少し、今が1番手が抜けない。 「じゃあ、ママ行ってきます!」 「ええ、いってらっしゃい」  元気よく手をこれでもかと言うくらいに振り、エリクスは村の中心へと駆けていった。  今日は村の教会で開かれる青空教室の日だった。  新国家となり、中央府は国民全体の識字率の向上に取り組みだした。  長い戦争の間に、学問はある程度低下していたためでもあった。  農村部では過疎化が少し進んでいたこともあり、少しはあった識字率は一気に低下していた。  イレーナは元々、この村の出身ではないため読み書きは出来た。逆に来たばかりの頃は、周りの村人たちでそれが出来ないことが多いことに驚いていたほどだった。  一時期、村長や一部の大人や子供に教えていた時期もあった。それは収穫物を街へ納める時に契約の不備があっても、彼らはそれを訴えることが出来なかったためでもあった。  しかし、数年前から教会へ週二回の教師が代わりとなる者達が派遣されるようになり、彼女も専門職に任せた方がいいと一歩退いてしまっていた。  とはいうものの、それでも何かと頼りにされることは多いのは事実だった。  軽く片付けをして、彼女は再び裏にある農地へと足を踏み入れていった。
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