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あと一週間もしないうちに今年の収穫も始まる。
「おはよう、イレーナ」
「あら、コレス。おはようございます」
近くに住むコレスが鍬を肩に背負い彼女を見ていた。
「今日もいい天気だな」
「ええ、そうですね。この雲行きなら、この一週間も大丈夫だと思いたいですね」
「はは、そうだね。もうじきだからなぁ。明後日から順次かり出していくから安心してくれ」
「いつもありがとうございます」
「なぁに、それはお互い様だ。そうそう、明後日はターレスの所だから、そのつもりで頼むよ」
「あら、今年は彼の所からなんですか?」
ターレスは彼女の住む場所から、ちょうど正反対に位置していた。
そして、もとよりイレーナ家と同じで刈り上げる順番は最後の方だったはず……
「あぁ、同時期に君の所とだからね。効率をかんがえて先に彼らの辺りから初めて見ることにしたんだよ」
「なるほど、そうなんですね」
そういうことなら致し方ない。
「すまないね。連絡が行き届いていないようで」
「いえ、一番の新参者ですし。しょうがないですよ」
「そうは言っても、もうこの土地に来てずいぶんになるじゃないか。色々と君の知識には世話になっているしな」
彼女が謙遜するのは少し違うとコレスは少し困ったように眉をひそめていた。
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