プロローグ

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 その国は大陸の中原に位置していた。   何年もかけ、その国は巨大になっていった。  その国の王はずいぶんな野心家だった。  力を持っているのになぜ使わない?  彼の意志を反映するかのように国は少しづつ周りの国を飲み込んでいく。  そして、最後に強大な二国が激突した。  片方は己が野心のため……  片方は皆が平和な生活を守るために……  争いは十年以上続いた。  大陸でも巨大にはいる平原の大帝、そして海岸線沿いに広がる豊かな海洋国家。  どちらも大陸でも屈指の大国なのは間違えないが、それだけ争えば疲弊するのは当たり前だった。  だが、それでも王は諦めない。  その状況を楽しみながら……そして、死なば諸共、その覚悟が王にはあった。  もっとも、長く続く争いにさらされている国民はそうではない。  酷くなる一方の生活は守るべき存在である善良なる民を追い込んでいった。  しかし、運命のいたずらか、はたまた必然か、王は突然死んだ。  様々な憶測が飛び交ったが死因は、病によるものだったという。  拍子抜けとはこのことだ。  だが、それでも戦争は終わらなかった。  落とし前がつけられないのだ、ここまで長くやってきているのだ。  おいそれと終わらせることはできなかった。  そんな中、最終決戦、文字通り死力を尽くす最後の一戦が囁き出された。
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