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いつものように執務に追われ、気が付けば朝を迎えていた。
昔は平気だったが、今となっては寄る年波というのだろうか。たまにこう言った生活がつらくなってくる。
そう思っていたときだった。
不意に部屋のドアが開いた。
「あっ!? 将軍! こちらにいらしていたのですか!?」
まだ明け方を過ぎた辺りだというのに、きりっとした格好をしたスレッタがいた。
「おはよう、スレッタ。その様子だと、いい知らせじゃなさそうだな」
目頭を押さえながら、デリファスは深々とため息をついた。
「その前に、将軍! また徹夜をしていたのですか?」
「あぁ、案件が片付かなくてな……」
スレッタはすぐにデスクの近くにある水差しからコップに水を入れて彼に手渡した。
「すまない」
よほど集中して作業していたのか、いつもは潤っている彼の唇すらも乾いていた。
その姿を見れば見るほど、スレッタは心の中でため息をついていた。
もっと自重して欲しいものだと、思っていてもこの男はそれを一向に聞いてくれない。
「それでなにがあった」
「はっ、ご報告いたします。昨晩未明、ラクシュ砦が何者かの襲撃に遭いました」
「なに?」
さすがにそこまでのことは予想していなかったため、彼も驚きを隠せなかった。
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