一羽 金色の園

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 ラクシュ砦は国の最西南に位置する。そこまで大きいわけではないが、要所の要としては重要な場所だった。それだけに、辺境であるのにもかかわらず、戦力はそろっていたはずだった。  数日前のラサルド将軍の言葉が微かに頭をよぎる。 「被害は?」 「我が方の監視員によれば全滅だと……」  デリファスは考えるようにしながら立ち上がった。 「やれやれ、だから。穀倉地帯の守りを固めるために、増強をしろと言ったんだがな」  彼は盛大にため息をつくと、窓の外を見た。 「周辺国で我が国にそこまで攻め入ろうとする国は今のところは無いはずだが……周辺の村への被害は?」 「はい。仰るとおり、侵攻されたとする痕跡はないです。周辺には村が一つあるくらいですが、被害はないようです」  やはりというか、各地へ散った間者から、その報告もうけていない。  小競り合いならば頻繁だが、これは規模が違った。  となると、やはり不穏分子が動いた可能性の方が高い。 「このことを知っている者は?」 「まだ城内では少ないです。ですが、ラサルド将軍の耳には本日中に入るでしょう」 「だろうな。あそこに穴を開けるのは問題がある。すぐに兵を派遣させろ」
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