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はげしく胸騒ぎがした。
時より、変な噂話が聞こえては来ていた。
だからこそ、それが符合する。
空を紅蓮に染める光を見たとき、私は走り出した。
だが、その間に私は自問していた。
今更なにができる?
私にはもう関係のないはずだ。
立ち去った人間がよくもぬけぬけと……
私の中で響き渡るのは否定の声のみ……
だが、こんな時、あの者ならばどうするだろうか?
それを考えてしまう。
だからなのか……
足を止める事はなかった。
身につけているものはない。
無手の状態で戦場へ駆けつけるなど、無謀なことこの上ない。
とはいえ、いくら常人よりも早く移動できるとは言え、馬ではないのだ。
そこへたどり着くまで一時間はかかる。
火が上がっているだろう砦は丘を越えた向こう。
それなのに、光が見えるなど尋常ではない。
だからこそ、動悸が激しくなった……
あそこは……
あそこには……
……
…………
………………
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