二羽 揺れる想いたち

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 はげしく胸騒ぎがした。  時より、変な噂話が聞こえては来ていた。  だからこそ、それが符合する。  空を紅蓮に染める光を見たとき、私は走り出した。  だが、その間に私は自問していた。  今更なにができる?  私にはもう関係のないはずだ。  立ち去った人間がよくもぬけぬけと……  私の中で響き渡るのは否定の声のみ……  だが、こんな時、あの者ならばどうするだろうか?  それを考えてしまう。  だからなのか……  足を止める事はなかった。  身につけているものはない。  無手の状態で戦場へ駆けつけるなど、無謀なことこの上ない。  とはいえ、いくら常人よりも早く移動できるとは言え、馬ではないのだ。  そこへたどり着くまで一時間はかかる。  火が上がっているだろう砦は丘を越えた向こう。  それなのに、光が見えるなど尋常ではない。  だからこそ、動悸が激しくなった……  あそこは……  あそこには……  ……  …………  ………………
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