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「私とて、それほど暇なわけではない。ただ、この動き、貴様はどう見るかと思ってな」
「そうですね。内部犯もいるかもしれませんが、基本的には外部でしょう。私達は過去に様々な過ちを犯した上に立っています。その中のほころびが、彼らに力を与えているのかもしれないですね」
「私達か……ふん、やっかいな話だ。元はと言えば……まぁいい。その時は貴様とて、民間人だったというのだからな」
ラサルドは吐き捨てるように言い出て行ってしまった。
「やれやれ……やっかいなじいさまだ」
頭を書きため息をつく、その姿はどこか少年を思わせる。
「どうなさるおつもりですか?」
「どうもこうもないさ、スレッタ。当面は様子見だ。だが、軍暗部の大半を取り仕切っているラサルドのじいさまが言うんだ。なにかきな臭い事が起きている」
「そうでありましょう」
「なら、お前の仕事もわかっているな?」
「分かりました。すぐに手配を致します」
「穏便に頼む。俺はこの平穏な時を……」
彼はデスクの前に戻り、そして執務に没頭していった。
昔のように自由の時間などありはしないのだ。
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