命の夜

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 驚きの表情をみせる美刀に正面から抱きついた。 「根性見せろ」 『……無理言うな』  3、2、1、と数えて身を離す。  俺の、守護。 『少しは楽か』 「なんの話?」  広希が携帯を拾った。  やはり、広希に必要なのは人間なのだろう。  そのまま、テーブルの上に置く。  ふと、目が合った。 『昭人に電話しないのか』 「無駄に疲れるからいい」  ふ、と笑ってしまう。  無理をして明るくしているのにも限界はあるのだろう。 「美刀……」  俺に残された、一振りの刀。 『何』 「って、いい名前だよね」 『……知るか。私を置いて行くからこんなことになるんだ』 「人間が守護を守って何が悪い」 『守られろ、守護に』 「嫌だ」 『嫌だじゃない』  はいはい、いい子いい子と美刀の頭をなでる。 『広希』 「ん?」 『私より、人間のほうが必要なんだろ』 「……なに、かわいいこと言って」  うにーっ、と頬を引っ張る。
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