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「私にはお前が必要だよ。……とか言ったら気持ち悪いだろ、実際」
『守りたいから置いてくのはわかる。でも……』
「お前は、生きてそこにいてくれたらいいんだよ」
『気持ち悪い』
「気持ち悪い言うな」
『……ありがとう』
「わー、気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!」
『どうなんだ!』
私の、守護。
「体調がすぐれませんので今夜はもう休みます」
『どうぞご自由に』
「ありがとう、美刀」
感情のこもった声だった。
あのたった5秒を差したことは、すぐにわかった。
わかったことも、広希は気づいている。
『何があったんだか』
「知らないけどね!」
確かにあの一瞬、広希は何かを得たのだ。
それは自分が思惟だから正体がわからないのかもしれないが、人間にとって必要な何かを。
何か……。
生きて、そこにいてくれたらいい。
生きて。
―おわり―
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