赤いおさかな

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 浄火が顔を覗きこんできた。 『笑ってる……?』 「や、何もねえよ?」 『ほら、あの子だってお父さんに抱っこされてるじゃない。いやー……またさっきのおさかなー!』 「……作戦か? それは」 『かわいいおさかな見えないわ昭人くん。抱っこしてよ、抱っこ!』  仕方なく両手を下げて迎えてやると、ぴょんと飛びはねて腕の中に納まった。 『昭人くん、あっちにかわいいのいる!』 「……へいへい」  移動してやると、また水槽に顔を近づけた。 『かわいいー……ちいさいのもいるね、昭人くん』  目をキラキラさせて珍しい魚を見ている。  魚よりお前見てるほうが面白いけどな、とはさすがに言えない。 「あっちも見るか? 小さそうだから大丈夫だな」 『うん』  ちいさな手でしがみついてくる。
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