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「皆さんはじめまして。アスラ・スカーレットハートです……」
丁寧な物腰で頭を下げるアスラだが、内心「こんなところでこんなとことをしていても良いのだろうか……」と迷いが生じずにいられない。
「はーいよろしくね。みんなもアスラと仲良くするよーに!」
「はーい! マナ、なかよくするよー!」
「いい子ですね~、マナちゃんは」
マナを筆頭に、一気に盛り上がる食卓。
アスラは戸惑うばかりで、言葉を口にすることも出来なくなってしまった。
「どうしたよ。お前、なんか言いたそうにしてるぞ」
そのアスラの様子に気が付き、声をかけたのが家主修斗。
「言いたいことがあるなら言えよ。ストレス溜まるだろ?」
と、その言葉に暫し悩んだアスラだが、しっかりと修斗の目を見て答えた。
「……こんなに歓迎しちゃってもいいの? 仮にも此処は魔王城、そして私は勇者で君は魔王だ。私は君の命を貰いに来て……今だって、何時君の喉元に刃を立てるかもわからないんだよ? それなのに……」
「それは無理な話ね」
アスラの言葉を遮ったのは、藍色ショートヘアの吸血鬼、リーゼリットだ。
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