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アスラは横目で、他の城メンバーと楽しげに会話を楽しむフィアの姿を見た。
私など、放って置いても取るに足らぬ存在ということか……それとも、何か別の理由があるのか。
なんであれ、彼女の考えていることが読めない。それはこの二代目魔王にしても同様で。
「……なんだよ? 俺の顔になんかついてるのか?」
「いや……そういうわけじゃないけど」
「そうか、ならいいんだけど……そういや、聞きたいことがあるんだけどよ」
修斗は口の中に含んだ食べ物をゴクリと飲み込んでから、改めて唇を動かした。
「お前、なんで俺の首が欲しいわけ?」
一瞬……ほんの僅かだが、2人の間にピリッとした空気が流れた。
しかしそれは杞憂であったのかと思い過ごすほどに、刹那的な出来事で、すぐに周囲の団欒ムードに飲み込まれていった。
「それは……私の家系が勇者だから。魔王を名乗る者が出たら、必ず討伐することが、勇者の使命だから……!」
「でもさ、俺も親父も悪いことなんもしてねぇぜ。それでも俺を殺すのか?」
真剣な面持ちのアスラと対照的に、修斗はあくまで冗談っぽい口調である。
彼の雰囲気は、少なくともアスラにとっては気味が悪かった。
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