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世界大戦は2人の英雄に因って終結した。それは誰もが知る歴史の一部であるが…… 何故英雄の片割れが自らを「魔王」と名乗るようになったのかは、実のところ誰にも知られていない。 彼は「魔王」を名乗った後、新大陸の秘境を自身の縄張りとして其処に住み着いた。 そして「魔王」は、名目上全世界を統べ、そして管轄する文字通りの「魔王」へとなったのである。 後者の事実は民衆にも広く知られ、戦争を止めた英雄が世界元首となることに不満を持つ者はいなかったのだが……勿論一部には疎ましく思う者もいるわけで。 「でもさあ、お前は違うんだろ? 何故なら勇者にとってデメリットとなるようなことは一切していないからだ」 その一言に、はっとアスラは我に返った。 思考を読まれた……? 仮にも魔王か……! 「そう驚くなよ……声に出てたら誰にだってわからぁ」 尤も、声は殆ど聞こえていなかった。彼がそれを知ったのは、読唇術によるものである。 だが、わざわざそれを言う必要はない、とそのことは喋らずにおいた。
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