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「確かに、魔王を邪魔だと思ってる奴ァ少なからず存在する。だがそれは主に権力者や指導者と呼ばれる者たちであり、民衆からの支持は依然高く保っている。これは事実だぜ」
再びパスタを口に運びつつ、世界元首たる魔王は勇者に告げる。
そう、旅してきた中でも、魔王を恨む者は居なかった……かといって、勇者を拒む者も居なかった。
ならば何故、勇者は魔王を討つ必要が……そう教えられてきたから? いや違う、何かもっと大きく、そして深い因縁があるような気がしてならないのだ。
何よりこの城の彼等を、恨めそうもない。彼等を手に掛けるなど……
「別によー、残虐の限りを尽くすとか、世界征服を企んだりするだけが魔王じゃねーと思うんだ、俺ァ」
そう言った彼の目は、どこか遠くを見ているような……そんな気がする。
アスラはその青い瞳に引き込まれていった。
「いやまあ、実際には魔王でもなんでもねぇただの人間だけどよ……でも、一応とは言え魔王を継いだ以上、それなりの責任も目標もあらぁ。今はまだ、未熟も未熟なヒヨッコかもしんねーけど……俺が統治する世界は、もっと良いもんにしてぇって思ってる」
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