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「あー! いたいた! シュートーっ!」
「マナ?」
突如耳に入った、幼女輝愛の声。
それに反応した修斗は辺りを見回すが、姿は見えず。しかしふと見上げてみれば、満面の笑顔で両手を広げ、自分目掛けて落下してくる幼女の姿が。
「うおぉっ!?」
咄嗟に受け止めるも、勢いを殺しきれなかったのか、隣に座るアスラを巻き込んでベンチごと後ろへ倒れ込んだ。
恐らく愛は、四つの中庭の中心に聳える、最も城らしい城足りえる塔のような部分……そこのどこかの窓から飛び降りたのだろう。
「きゃははは! たのしー! シュート、もう一回! もういっかーい!」
「勘弁してくれ……」
「えー……じゃあ代わりにあそんでー」
「わかったわかった」
「アスラもー! アスラも一緒にあそぶのー!」
「ええ!? 私もかい!?」
無邪気にはしゃぐ愛の勢いに押され、修斗、そしてアスラは中庭で遊ぶことになってしまったが……余りにパワフル過ぎる愛に終始翻弄されっぱなし。
幸いなことは、2人の体力が尽きる前に、愛が睡魔に負けて眠ってくれたことだ。
「ず、ずいぶん元気だね……まさか、子供相手に鬼ごっこで本気を出すなんて」
「それも、一回も勝てなかったな……」
だが、アスラの膝の上で寝息をたてる愛の寝顔は、とても愛おしく思えた。
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