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「……そう言えば、色々と聞きたいことがあるんだ。君は見たところ、日の元の国の血筋も入ってるよね」
「ああ、親父の親父……つまり俺の爺さんが日元人でな。俺の名前が和名なのもそこから来てる……親父は親日家だったから」
2人して愛の頭を撫でつつも、口調は真面目なものだ。
しかしそれでいて爽やかな風が吹き、穏やかな空気が2人を包む。
「あの宮本って人も日の元の出身……だよね、着物でわかったよ。けど、この子は……」
「ああ、日の元とは全く関係ない。名前が和名なのは命名者が親父だからだ」
「……何か事情があるんだね」
「うちの連中は大概そうさ」
アスラの表情に雲がかかるのを、修斗は見逃さない。
そんな雲を鼻で笑い飛ばすように、彼は続けたのだ。
「でも、うちの連中はみんな楽しそうだろ? 此処に来て後悔してる奴ァ誰もいやしねぇよ」
「そういうことじゃなく! ……あっ。ごめん……」
「気にすんなよ。お前も長旅で疲れてんだ……暫くはうちでゆっくりしてけよ」
声を荒げてしまったアスラだが、すぐに冷静を取り戻す。修斗はそんな彼女の肩をポンと叩き、笑いかけた。
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