これからの

19/27
前へ
/53ページ
次へ
「……そう言えば、色々と聞きたいことがあるんだ。君は見たところ、日の元の国の血筋も入ってるよね」 「ああ、親父の親父……つまり俺の爺さんが日元人でな。俺の名前が和名なのもそこから来てる……親父は親日家だったから」 2人して愛の頭を撫でつつも、口調は真面目なものだ。 しかしそれでいて爽やかな風が吹き、穏やかな空気が2人を包む。 「あの宮本って人も日の元の出身……だよね、着物でわかったよ。けど、この子は……」 「ああ、日の元とは全く関係ない。名前が和名なのは命名者が親父だからだ」 「……何か事情があるんだね」 「うちの連中は大概そうさ」 アスラの表情に雲がかかるのを、修斗は見逃さない。 そんな雲を鼻で笑い飛ばすように、彼は続けたのだ。 「でも、うちの連中はみんな楽しそうだろ? 此処に来て後悔してる奴ァ誰もいやしねぇよ」 「そういうことじゃなく! ……あっ。ごめん……」 「気にすんなよ。お前も長旅で疲れてんだ……暫くはうちでゆっくりしてけよ」 声を荒げてしまったアスラだが、すぐに冷静を取り戻す。修斗はそんな彼女の肩をポンと叩き、笑いかけた。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加