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十階、即ち最上階に座する魔王の間……もとい一際広く豪勢な寝室こそ、二代目魔王城主凛々崎修斗のプライベイトルームである。
その自室の大きなベッドに愛を寝かせ、布団もしっかり被せてやると、ベッドの縁に座って小さく息を吐いた。
「ふぅ……やれやれ。いきなり命狙われたときはどうしようかと思ったが……アイツとは、わりかし上手くやっていけそうだ」
それは安堵であると同時に、これからへの不安でもあった。
いくら彼女が勇者だからと言って、たった独りでこの秘境へたどり着くなど、今までに前例がないからだ。
何か、良くないことの前兆なのでは……いやいや、アイツを疫病神のように扱うのは良くないよな。などと、修斗は逡巡していた。
「やー修斗。マナの遊び相手と、アスラのエスコートお疲れ様」
「……突然顔だけ出すのはやめろって言ってるだろ。神出鬼没すぎんだよ、お前は……」
突然聞こえたフィアの声……彼女は天井付近に現れた穴から、ひょこっと逆さで顔だけを出していた。
修斗は慣れているのか、さほど驚いてはいないようだったが。
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