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「……で、どっちから聞く? 良い方と悪い方」
フィアは少々乱暴に修斗を壁から引き抜き、部屋に立たせた。
その時は既に笑ってはおらず、多少の真剣さを孕んだ空気を纏っていた。
「俺、大好物は取って置いて、最後に食べる派なんだよね。てことで最初は悪い方から」
痛がってはいるものの、修斗は割と平気そうだ。どうやら物理的な痛みには強いらしい。
「はいはい、悪いニュースね……ちょっとアスラの服を調べさせて貰ったんだけど、発信機のようなものを見つけちゃってさ。どこからくっつけられたのかはわからないけど……もしかしたら、安全にこの城まで辿り着けるルートを、何者か……或いは世界中の国の軍の上層部に知られちゃったかも」
それを聞いて、修斗の顔からサーッと血の気が引いていく。
「おいおい……冗談じゃねー。特殊な地形と気候、そして未だにしぶとくそこを根城にする強力なモンスター共が周囲を守ってきたこの天然の要塞が……ネズミの通った穴から、他の者の侵入も易々許しちまうってことか? こんな自然豊かな土地が戦渦に巻き込まれるってことかよ!?」
修斗は思わず激しく怒鳴り声を上げた。
それほどまでに動揺していたのだ。
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