これからの

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フィアは、修斗の震えを優しく止めてあげるかのように……その両手で包み込む。 「悔しい? 私もそのもどかしい気持ち、よくわかるなぁ」 「なんでもできるお前がか? 慰めなんていらねぇよ……」 「私だって、最初から強かったわけじゃない。わがままで泣き虫で、護って貰うことしか出来なかったんだよ?」 その言葉に修斗は顔を上げる。間近に見たフィアの表情は、切なく苦しいものだった。 「そんな自分が嫌だった。早くみんなを護ってあげられるくらい……恩返しがちゃんとできるくらい強くなりたかった。今の修斗とおんなじだよ」 フィアの両手が、修斗の両拳を優しく握る。徐々にではあるが、彼の拳は震えが治まってきていた。 「でもね。私の大好きな人達が言ってくれた。焦らなくていいんだよって。少しずつ強くなっていけばいいんだよって……だからね、修斗も少しずつ強くなっていこ? やれることを積み重ねて、ちょっとずつ前に進も? 修斗が強くなるまで、私が護ってあげるから……修斗が強くなったら、私の背中を護ってよ」 最初、半信半疑でフィアの話を聞いていた修斗だったが……フィアの笑顔、そして言葉の節々に感じる力強さで、彼女が本気であることを理解した。 もう、震えてはいない。
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