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「……さて! それじゃ、次は良いニュースの話をしよっか!」
一転して眩しく溌剌とした雰囲気に変わるフィア。
修斗はギャップに驚かされるが……よく考えてみれば、フィアという人物はいつもこんな調子であることを思い出し、浅く息を吐いて頬を緩ませた。
「聞かせてくれよ、良いニュースってのが何なのかを」
「うん! アスラはね、多分大丈夫! 私たちにはもう、一切警戒していないと思う。これから仲良くやっていけそうだよー!」
「そりゃどういう意味だ?」
腕を組みつつ疑問を呈する修斗。
フィアは顔の横で右の人差し指を立て、その解を告げる。
「だってアスラったら、自分の部屋で下着姿で寝ちゃってたんだよ? 布団もかけずにね。私たちのこと信頼してなきゃ、あんな無防備な姿は晒せないよ」
「よし、今すぐアイツの部屋に突撃だ」
「……言っとくけど、私が行かせないよ」
マスターキーを持って部屋を出ようとする修斗の前に立ちはだかるフィアという大きな壁。
それは途方もなく巨大で、攻略不可能にも思われた……
「……なぁに、冗談だよ、冗談。場を和ませる為のジョークだよ……本気にしてんじゃねーよ」
とか言っている修斗は決してフィアの顔を見ようとせず、全身に冷や汗がどっと流れていたことは、勿論フィアにはお見通しだった。
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