4人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはようございます」
「あら~、おはようございます、アスラさん」
時間はまだ日が昇り始めたばかりの早朝。居住区エレベーター内部にて、勇者アスラとリリスは出会った。
「ずいぶんお早い起床ですね~。もう少しゆっくりお休みになられても結構ですのに~」
「いや……日課ですから。早起きは。それに、昨日は久しぶりにお昼寝までしてしまったし……リリスさんこそ」
「リリス、とお呼びください~。見たところ修斗さんや私と同世代ですよね~」
相変わらずおっとりした喋り方だが、イライラとする類のものではなく、むしろ心地良い。
エレベーターが止まり、一階へ到着……降りたら、2人並んで歩き出す。
「私は齢16だけど……」
「やっぱり! 私や修斗さんも16歳なんですよ~」
手のひらを胸の前で合わせて、リリスは嬉しそうにしていた。
「ですから、どうかお気軽に接してくださいね~? 私、同い年の女の子が来てくれてとっても嬉しいです~」
「じゃあ、リリスも私に敬語とか使わなくてもいいよ」
「私のコレは癖になってしまっているので、この喋り方しかできないんですよ~。私もアスラちゃんとは気兼ねなくお喋りするようにしますから~」
さり気なく呼び方が「アスラさん」から「アスラちゃん」に変わっていることに気が付いたアスラは、ほんの僅かながら照れ笑いを浮かべた。
最初のコメントを投稿しよう!