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「あ、そう言えば……リリス、昨日はこの服、譲ってくれてありがとね」
自身の着ている薄紅色のシャツの裾を広げながら、アスラはリリスに礼を告げる。
「いえいえ、もうきつくなって着れなくなってしまったものですから~。私のお古なんかで申し訳ないです~」
リリスは手を顔の前で振り、謙遜の意を示した。
その言葉……特に前半部分に過剰に反応し、アスラはリリスの胸元を見ながら自分の胸に軽く手を押し当てた。
「……くっ」
過剰反応した所為で、自分で勝手に敗北感を味わうことに。
同年代のリリスは胸も大きく成長しているというのに、自分は僅かばかりしか膨らみが……考えれば考えるほど増していく敗北感。そのうちアスラは考えるのをやめた。
「ところで、リリスはこんなに早くに何をしに?」
「皆さんの朝食の用意です~。基本的に、私が食事を任されているんですよ~」
心なしか、えっへん、と胸を張っているように見える。
なんとなくアスラも予想していた答えが返ってきたわけだが、それは同時に彼女を偉いと、高評価を獲得することと同じ。
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