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しかし彼女は蒼白の剣を強く握り直した。
「例え君から来なくとも、私は君を斬るよ」
「はぁ!? ちょ……落ち着けってーの!」
二代目魔王である少年の制止を聞き入れず、朱い勇者は問答無用で斬り掛かった。
「うおっと……速ッ!?」
少年はギリギリで回避に成功した。
が、少女の攻撃は止むことなく続けられた。
「それでも二代目魔王なのかい!? 逃げてばかりで情けない!」
「そりゃそうだ、戦う気なんてさらさらねぇんだからな! 剣を収めろ!」
少女の剣戟は更に烈しさを増していく。
回避のタイミングも間に合わなくなりつつある……少年もやむなく、自身の武器を召喚した。
「ああもう! 人の話を聞け!」
「漸くやる気になったかい、魔王!」
「魔王じゃねーっつってんだろ!」
少年の武器は、紅黒の剣。まるで勇者の剣と対局のカラーであるのに、デザインは二刀一対であるかのようで。
「その剣、どこで……」
「ウチの御先祖の形見だよ」
「……そんな、まさか」
勇者は少なからず動揺した。
魔王の返事に。
何故なら、彼女の剣もまた、先祖代々受け継がれてきたものであったからだ。
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