プロローグ 赤と黒

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その動揺は誰が視ても明らかなものであった。勿論、この少年にとっても。 「確かに、よく似てるよなー。俺のとお前の剣はさ。運命の赤い糸でも繋がってたりしてな」 「言って良いおふざけと決して許されない冗談がある。君はどっちを言ったのかその身を以て理解したいのかい?」 あ、やべ。怒らせた。 少年はワードチョイスを失敗したと悔い冷や汗を流すが、今更遅い。 少女の迷いは怒りにかき消された。 瞬間、蒼白と紅黒は交わった。激しい金属音を鳴らし、火花を散らして。 「わ、悪かった、謝るから怒りの矛を収めてくれないか」 「うるさい! 君は私が斬る! 絶対に!」 ああ、より話しにくい状況に。 仕方なく少女の攻撃をいなしつつ、なんとかせねばと策を練る。 が、そう上手いこと思い付くはずもなく。 「うわっ……とと」 「どうした、剣に迷いがあるよ! そんな剣じゃ私の攻撃を防ぐことすら出来ない!」 思考しながら動くのは、思いの外難しい。反応が遅れ、徐々に劣勢になりつつある。 こりゃマズいな。 と、少年が思ったその時。
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