プロローグ 赤と黒

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「はいストーップ! そこまでだよー」 若々しい女性の声。そしてそれと共に、2人は地に押さえつけられていた。 「……!? 誰!? 一体何が……」 「突然現れて、優しく制圧しただけだよ? 簡単でしょー」 口調は軽いが、難易度は決して易しいものでないのは明白だ。 いくら戦闘中で気がそちらに向いていたとは言え……押さえつけられたと認識するまで、全く気配を気取られないなんて、この勇者にすら出来ない芸当。 勿論、二代目魔王にも出来るはずがなかった。 「……ってか、なんで俺まで?」 「喧嘩両成敗! あれ、ちょっと違うかな?」 少年少女の上から聞こえる声は、実にお気楽そうなそれで。 勇者はとうとう、抵抗を止めた。 実力差を肌で感じたからだ。 「あなたは……何者なの?」 「私? 私はねー、フィアって名前だよ。クランベルクって名乗った方がわかりやすい?」 「英雄……クランベルク……!?」 そう、そのクランベルクこそが、世界大戦を終結させた英雄の片割れの名。 この女性が……しかし、何故魔王の居城に……と、勇者の疑問は尽きない。
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