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瞬間、精鋭達の放つ雰囲気が研ぎ澄まされた。そしてオーラのような空気感は次々と他の班を飲み込んでいく。アーリオも針で全身を刺されたような心地になり、辺りに集っていた民間人達も否応なく背筋が伸びていった。  先頭の男が一気に剣を振り下ろした。  各班が四方八方に分かれ、決められたルートで決められた場所に向かっていく。 「はい、じゃあ僕らはあの辺りを目指して行くから、サポート忘れずにね」  眼鏡を掛けた青年兵が、団体旅行の添乗員のように後ろ向きに歩きながらアーリオ達に声を掛けた。  その時には既に精鋭達の班は森の中に消えていった。  アーリオは見落とさなかった。剣が振り下ろされたその瞬間に、彼らの足下に小さな円陣が生じ黄緑色に光ったのを。  途端に馬よりも矢よりも遥かに速く、雷鳴の如く森に突入していったのだ。
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