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「お食事中、申し訳ありません!」一人の男が敬礼をして堅苦しい声で言い放つと、周りに居た客も訝しげにその光景に目をやった。 「明朝、ハッシャリオール第十六分団に出頭をお願い申し上げます!」  この町にはハッシャリオールの十五から十八までの分団が置かれ、東西南北の管轄に別れて行政を執り行っていたが、十六とは東に置かれた拠点で、他の三カ所に指示を行う性質をもった一番大きな派出所だった。 「………………」 「……………あの」制服姿の男は反応を待ったが、程なくしてカムイからは寝息が聞こえて来た。アーリオは背もたれに寄り掛かったまま制服姿の男に空いたグラスを掲げ、衛生のように漂わせた。男はハッと気付き、ボトルを手に取るとグラスに注いだ。すると逆の手で男が持っていた召喚状、一般人が拠点に入る為に必要な書状を受け取った。 「よ、よろしくお願いします!」と三人は改めて敬礼してから、踵を返して引き返していった。  カムイが程なくして目を覚ました。 「眠っちまったか……」目を擦りながら言った。 「その間に客人が来た」 「客人?」 「明日、出廷しろだって」アーリオはピラリと音を立てて書類を見せた。 「取り調べ……か?いや、俺らは何もしてないぜ?」 「あぁ、だからそう言ってやろう。俺らは兵士の錯乱を止めただけだって」  後日、二人は拠点に赴くと、二人それぞれ別室に通された。  アーリオはそのまま上の階へと案内され、最上階へと通された。  そこには先日の調査で先頭に立っていた男が、制服の第一ボタンを開け、袖のカフスも外して、窓際で書類に目を通していた。 「久しぶりだな、アーリオ」 「ボロニア、偉くなったもんだ。リリィは元気か?」 「あぁ、相変わらず尻に敷かれてるよ」二人は笑った。 「で、わざわざ呼び出して何だ?昨日の件なら、あれは若いのが『痕』に飲み込まれただけだぞ。そんなの医療班の診察で判りそうだが」 「いや、そっちじゃない」ボロニアは書類を自分のデスクに置き、目頭を一度抓ってから、来客用のソファにアーリオを促した。 「……扱える様になったのか?」 「何を?」 「覇王陣をだ」  ボロニアの声が低くなった。
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