神の華

28/30
1045人が本棚に入れています
本棚に追加
/148ページ
「な…なに…?」 さすがの一平も、そのノノの不思議な迫力に戸惑う。 「我らの父上が…そろそろ黄泉の国に持っていかれそうなんです…。 急がなくてはならないですね…? 一平くんの知恵を大至急使ってはもらえませんか…? 確かに、自然の流れを守る神族なら…父上が消えますね…。 母上の思いを成して差し上げるなら…母上が消えますね…。 一平くん…? 君が父上か母上のどちらかを選べると言うなら、その理由を大至急…教えてください」 「そんな!選べないよ! 自然の流れ!?なら、まだみんな元気でいて良いじゃん!!!」 「選べる道は、三つ。 このまま父上が消えるか…、後は…母上か…もしくは自分が…。 そして…助けを待っている時間は…もう有りません…。 だから…選べる道は三つだけです」 「このままじゃ…、カノエさまが消える…。 神気を使い果たすサクヤさまがやったら…、サクヤさまが消える…。 ノノくんがやったら…………………………あれ?」 一平がハタと思い至った。 「ノノくんはまだ力がフル満タンなんだし…崩れない…。 それに…今のノノくんなら…僕みたいに神堕ちまではしない…。 いずれ…また昇華できる! カノエさまとサクヤさまのどちらかなんて選べないし…。 それなら…。 敵の思う壺になんのは確かに悔しいけど…。 まだ僕たちは、一緒に暮らしていけるよっ!!! だって!そうじゃん! ノノくんがもう少し野のワラシでいるって事なら! それって! 今まで通りの元通りだっ!」 ノノと一平と千秋が視線を交わす。 「おほほほほ…。また困った子たちじゃのぅ? 一平が神堕ちした時、あれほど皆で悲しんだのではないかぇ…? また…詮無きバカな事を…」 それまでは優雅な風情を保っていたサクヤが、一瞬でギラリとマナジリを吊り上げる。 「千秋…?だから吾はお前を選んだんじゃぞょ…? お前なら、こんな一時の感情に流されず…大切なものが判るじゃろ…? 吾は…お前を…我が家の要と信じたのじゃぞ…」 千秋が緊張にプルプル震える。 「お前は…神の信頼を…裏切ると言うのかぇ…?」 千秋が竜笛を両手で持ちながら、プルプルと震えて錯乱している。 「何が正しい事じゃ?ノノの昇華を阻む事がお前の正義なのかぇ…? そうでは無かろう…? お前は昔から良き子じゃった…。 そうじゃ…。な…?じゃから…ノノの昇華を守るのじゃ…。のぉ?」
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!