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「ノノくんっ!?」
一平が思わず叫ぶ。
「はにゃ…!はにゃ…!」
アラシの事から始まって、自爆の玉やカノエの崩御。
それだけでも耐え難い大きな哀しみであるものを、それでも彼は必死に今までこらえていたと言うのに。
彼の目の前で、サクヤがたった独りで大切ないろんなものを守る為に己を犠牲にしようとしている。
それを目の当たりにして、ついにノノが感情を制御出来なくなった。
「うにゅっ!
うにゅぅぅぅ──っ!!!」
身悶えるノノを少し眺めて、しかしサクヤは悠然としている。
「ふふふ…。無駄じゃ…。
今のノノでは神通力は使えぬ…。封印を解く事すら叶わぬわ。
邪魔などさせぬ。
お前の昇華は、我ら積年の希望なのじゃ…。
守り抜く。
一時の感情で台無しになどして良いものではなかろう?
あのカノエと共に闘い抜いてきた吾が、そんな甘い見落としをするような迂闊な間抜けに見えるのかぇ?」
余裕綽々にサクヤが言うから、千秋が焦って叫ぶ。
「しかし!ノノくんがあんなに苦しんでます!
もう…これ以上…誰かが苦しむ姿なんて…見てられません!」
「顕現なら、問題ない。
真の姿を現しても、神通力を発動さえさせねば昇華に影響は無い。
感情が高ぶり過ぎて、千年もの長きに亘り高め続けられてきた膨大な神気に翻弄されとるだけじゃよ。
あれは苦しんでおるのではなく、混乱しておるだけじゃ。
ノノならば、きっとすぐに落ち着くに違いないわ。あの子は、そういう子じゃからの。
どうせ神通力は発動出来ぬようにしてあるのじゃから、せいぜい顕現ぐらいまでしか出来ぬ。
安心いたせ」
不意に、アラシの肩に何かが舞い降りてきた。
だからアラシがそれを摘まんで見てみたら…。
「え…?何で…この季節に…桜の花びらが…?
あれ…?サクヤさまですか…?」
「ん…?まだそこまでの神通力は発しておらぬぞぇ?
桜の花びらなど、何故に…?」
サクヤも怪訝な表情をして、不思議そうな顔をする。
だから一同が桜の花びらが舞い降りてきた天空を見上げてみると…。
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