神様の言う通り

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満月に照らされた桜吹雪の中を蛍の光が舞い踊る。 あまりの幻想的な光景に目を奪われていた一同に、アラシが典医になる為に医術を学ぶと告げた。 カノエが小首を傾げて。 「転移…? この蛍を呼び寄せたやつか?」 だからサクヤが呆れた様子で。 「それは転移じゃろ。アラシが言うておるのは典医じゃ。 ………あ。どっちもテンイじゃの」 千秋が少し笑って。 「つまり、ホームドクターですよ」 それを聞いたカノエがぶったまげながら。 「ホームドクター!? そういうのって、金持ちの世界の話じゃねーの!?」 「そうよの…?吾など毎月の小遣いは1000万円でやりくりしとる慎ましい生活じゃからのぅ…?」 「俺なんて毎月500円だぜ? 何なんだこの格差…? 金持ちとか何とか言う以前の問題じゃねーか…?俺…」 「何を言うておるんじゃ。 吾は誤魔化されぬぞぇ? カノエ…?どうせまだヘソクリを隠しておるじゃろ…?」 「な…なんだよ!何を証拠にそんな事が言えんだよ!」 カノエがアタフタしている。 「芸能界は当たると大きいじゃろ。 特に音楽業界は一曲ヒットを飛ばすだけでもドカーンと大儲けだそうではないかぇ。 まぁ、これからは吾がウヌのマネッジメントをしてやるからの?安心して働くが良いぞ?」 「はぁ!?良いよ!音楽活動は俺が自分で好きにやっから!!!」 「ダメじゃ。男に金を持たすとロクな事にならぬ。 吾がしっかり管理してやるから、稼げるだけ稼いで来い。 手始めに、取り敢えず新曲でも作って当てて来い」 「んな…。簡単に言うけどなぁ?曲を一曲作るのってめちゃくちゃ大変なんだぜぇ!? それもヒットする保証なんて無ぇしさぁ?人気商売は大変なんだよ。 銀行の信用も低いしさぁー」 「それでは…実は前々から誘われておるのじゃが…。 吾が銀座と六本木と北新地や祇園辺りに店でも出すかのぉ…。 アラシの学費ぐらいは何とかせねばならぬであろう?」 「まぁなぁ…。医学部とかって…学費とか高そうだもんなぁ…」 「えぇっ!?ちょっ!ちょっとお待ちください!!!」 アラシがビックリして言ってくる。 「そんな…学費なんて出していただく訳にはまいりません!」 「は?何でだよ?トゲだって留学させてるぜ?」 「主なら当然じゃな。 我が家に仕官したいのなら、そのくらいの事はしてやらねばの?」
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