山の神 里の神

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山奥にひっそりとたたずむ、小さな山村。 その山道を、ランドセルを背負った少年がトコトコ歩いている。 自宅は山林の中に在って、小学校まで子供の足では一時間近くかかる。 人里が徐々に遠退き、いよいよ山道を登り始める所に、小さくともよく手入れされた神社が建っている。 村の鎮守さまだ。 山道をジト…と睨み付け、人差し指をツッ…と前に伸ばすと…。 バシッ!!! 鎮守を拒むように電流のようなものが飛び散る。 結界だ。 「まったく…。強情な女だぜ…」 鎮守が呟いて更に山を睨み付ける。 「鎮守さまぁ~。こんにちは~」 少年が親しくしている神様の鎮守に挨拶をする。 ペコリと頭を下げた途端に…。 ランドセルのフタをしっかり締めていないでプランプランさせていたものだから、教科書やノートが少年の頭の上からドッサー…と飛び出してきた。 そんな少年をしばし眺めて、鎮守が呆れた風情で言ってくる。 「相変わらず…ドン臭いな…お前」
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