山の神 里の神

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ノノと一平が笑い合っていたら、その会話が聞こえたサクヤが「ふむ…」と少し考えてから。 「こりゃ。一平…?」 「はい?」 「それなら、神の庭を作ってやろうぞ?」 「神の庭…ですか…? 何ですか…?それ…」 「神の領域と人の領域では、時間の流れ方が違うのじゃ。 ノノにはまだそれ程の力は使わせてはやれんが、神たる吾(ワレ)ならば条件さえ揃えば異空間を作ってやれるのじゃ。 時間を気にせず、思う存分遊ぶが良い。 後で辻褄は合わせてやるでな?好きなだけ遊べ。 ノノにとっても、きっと善き時になろう」 「ちょっと待て」 即座にカノエが言葉を挟む。 「サクヤ…? お前の人間好きは今さら驚かねーけどよぅ…? それ…ヤバくネ…? 神の庭は、時空を歪ませる神通力なんだぜ…? 俺らが一番しちゃいけねー“人へのエコヒイキ”になっちまったら…。 下手したら…崩(コロ)されるぜ?」 「知るか。 この山は吾(ワレ)の領域じゃ。 他に影響を出さないなら、誰ぞに口を挟まれてたまるものか」 「つーかさぁ…?時間に関わる神通力ならよぅ?太陽と月の力を使うんだろ…? お前独りじゃ…出来ねーよな?」 「我が背はウヌじゃ。 どーしょーもないメタメタな蛇でも我慢するしかないの? 便所が臭いヘビメタ鎮守。 しょーがないから、手伝わせてやろうぞ」 「へっ!?それ、人…っつーか神にものを頼む言いぐさ!? 何か間違ってねぇ!?」 「お前は、昔っから本当にうるさいな。 ヤル気が無いなら、早く消えたらどうじゃ?」
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