甘いだけが恋じゃない！

あたしの日常？ 現在 椿高校2年生11月

音楽室。

ここは、あたしがクラスから抜け出したくて探し求めていた場所だった。

入学当時、あたしは学校があまり好きじゃなかった。
公立高校の受験に失敗して、この私立 椿高校に通うことになったからだ。

あたしはよく、『勉強ができる』人間だと言われ続けてきた。
だけれども、総合得点で学年1位をとったことなどないし、いつも20位辺りをうろうろしていた。

だからって、1位になる努力をしたこともない。
中学時の通知表だって、5なんかなかった。

そんなあたしが『できる』と言われているのは、単に、家族が末っ子のあたしを甘やかしているだけなのだ。

本当にできるのは、従姉妹の真依みたいに、通知表は4と5ばかりで、学年順位が首席なひとを言うんだろう。

だけど、あたしは傲慢だった。
高校受験のとき、勉強すらすることはなかったし、受験前に、教科書を広げることすらしたことはなかった。

あたしが落ちるはずないんだって豪語していた。自信家だったのだ。