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あたしは勝手に長瀬先輩もそうなんだ、と思っていた。
クラスに馴染めない、のだと。
しかしそれは全くの誤解であることを後に知る。
つまりあたしを好きらしい先輩はいつもあたしを目で追っていて、昼休みの音楽室がチャンスだと思った、らしい。
全く、こっちからしたら迷惑な話だ。
だけどとても助かったことはあった。
昼休み、音楽室、ひとりぼっち。
これはこれで、楽なんだけどちょっと寂しいかな、って思わないこともなかったり。
その頃から告白のようなことはあったけど、恋愛音痴なあたしが付き合いたいと思うわけなかった。
そしてだんだんうっとうしくなってきて、音楽室でご飯を食べるのも諦めた頃、あの公開告白。
ああ、どうしてあのとき情なんてわいてしまったのだろう。
読書していた本から顔をあげる。
あたしのとなりに立ったままの先輩は、あきれることにケータイゲーム………昔で言うとゲームボーイ…………で遊んでいた。
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