あたしの日常? 現在 椿高校2年生11月

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「あの、ですねー」 「うん」 急に声をかけたにも関わらず、驚く様子もなく、また、ゲームから顔をあげることもなく先輩が答える。 この人、さっきから、うん、ばかりだ。 「一応、ここ、学校なんですよねー」 「そうだね」 「ゲーム禁止なんですけど。 てか、恋愛も禁止なんですけど」 「ポケノンがさ、今日の12時32分、この場所にレアなモンスターが出るっていう計算が出てるんだよ」 いや、そんなこと知らないし。 恐る恐る音楽室の時計を見る。12時32分。なんだか頭痛がしてきた。 ポケノンとは、先輩がハマっているゲームだ。流行はあたしたちがまだ小さい頃だったけど、まさか今でもこの年齢でここまでハマってる人がいるなんて。 「恋愛はなー」 しばらくして、先輩が切り出した。 律儀に答えを返すのは先輩のいいところなのだろう、たぶん。 カチッという音がして、先輩がゲームの本体を畳んだ気配がした。 なるほど、32分を過ぎたら用はないわけだ。 レアなモンスターは出ましたか、と聞いてもいいけど、愚問な気がしてやめた。 「黙ってやればわかんないんだよ。ゲームと同じで、こっそりやるもんだ。 な、楽しいだろ?」 ぽん、とあたしの頭の上に手をおいて彼はスッと教室を出ていった。
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