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「美波ちゃん?」
いつもの昼休み、昼食時間。
呼ばれて、あたしはハッと我に返った。
思わずお弁当に入ってた卵焼きを落としそうになる。
「珍しいね、ご飯の時にぼっーとして。嫌いなおかずでも入ってたの?」
「いや、そういう訳じゃない。
ちょっと魂が宇宙で遊んでた」
そう言うと、ふうんと、彼女がさらさらの髪を揺らして頷いた。
古川 由真(ふるかわ ゆま)。
あたしの高校での友達。
現在、以前の先輩と同じ2年A組。
見た目は清楚なお嬢様。
あたしと同じ制服を来ているというのになんだか別の服を着ているみたいな、美人系。
長い髪はふたつに結んでいて腰まである。
もったいない、とあたしは彼女を見て思う。口さえ開かなければ男だってよりどりみどりだろうに。
そんなことを考えているとは知らない彼女は、お弁当のウインナーをパクリと口にいれて、至極満足そうな笑みを浮かべている。
ウインナー好きだったっけ?
「美波、由真、お疲れさま」
「お、今日は由真もいるのか!」
そう言って音楽室に入ってきたのは、長瀬先輩と、西原先輩だ。
とたんに、由真ちゃんの機嫌が悪くなる。
西原先輩こと、西原 辰徳(にしはら たつのり)先輩は、長瀬先輩と友達関係で………一応、由真ちゃんの彼氏…………らしいけど。
とてもルックスがよく、長瀬先輩と人気を二分するこの人。
話し方がとても上品、友達が多いせいかそのネットワークはとてもすごくて、あたしだったら友達にはなりたくないタイプだ。
実は最近、この4人で過ごすことが当たり前の学校生活になっている。
かといって、毎日一緒っていうわけでもないけれど。
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