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「ふたりは、なんの会話をしていたの?」
と聞いたのは西原先輩だ。
音楽室には、いくつか座学に使うための机と椅子がある。
あたしと由真ちゃんは向かいの席になるように机をくっつけて座っている。
そこに先輩ふたりが、なんの断りもいれずに側面にくっつけてきた。
あたしのとなりに長瀬先輩、由真ちゃんのとなりに西原先輩だ。
「なんでもいいでしょ」
と、余計、機嫌の悪くなった由真ちゃん。
返事してくれるだけでも嬉しいのか、西原先輩が奇跡でも見るような目で由真ちゃんを見た。
ドS、ドMのカップルを見たければ、手本はこの二人だ。それくらいこの二人は、いつもこんな会話を繰り広げている。
それなのに、彼女彼氏なのだ。
世の中のカップルというのはなんだか不思議な組み合わせもあるんだな、と思う。
「あ、長瀬先輩~、こんにちは!」
さっきまで冷ややかな目で西原先輩を見ていた由真ちゃんだったけど、急にキャピキャピした声を上げる。
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