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そうこうしているうちにも、ふたりは熱戦を繰り広げていた。
うざい、邪魔、ご飯が不味くなる、など、およそ、美人から発せられる言葉だとは思えない言葉たちが、由真ちゃんの口から飛び出ている。
「あのー」
あたしはもう一度、先輩をちょいちょいとよんだ。
ん?とこれまた耳を傾けてはいるけど、となりの攻防戦よりも腹が減ったことの方が重要らしい。
先輩はすでにお弁当を広げていた。
「ふたりってカレカノなんですよね?」
「うん、たぶん」
そうやって、こそこそ話していると。
「あーも、やだやだ!
せっかくの昼休みが楽しくなーい!」
そう言って由真ちゃんはお弁当箱をしまった。いつ食べてしまったのか、空だ。
西原先輩が側でとてもしょげている。これもありきたりな光景。
うはは、と乾いた笑いが漏れた。
いつもの光景、いつもの話、これが日常。
そうだけどね、もうちょっとさ仲良くしようよ、と心のなかで思うあたしだった。
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