171人が本棚に入れています
本棚に追加
夏服が終わり、冬服へと移行したこの季節。
制服を着ることにも慣れてきたなぁ、と冬服のすそをつまんでみる。
担任の先生に、放課後職員室にくるようにとのお達しがあって、あたしは帰る用意を済ませ職員室へと足を運んでいた。
なんだろ、説教かな。
それともこないだの期末テスト、英語めっちゃ悪かったし、その事だろうか。
なんかやだなーと、めずらしく気落ちした面持ちであたしは廊下を進んでいた。
放課後になったばかりだというのに。
ヤル気満々の部員がいるのか、窓の外から合唱部の歌声が聞こえる。
あ、この歌知ってる、と一緒になって小声で口ずさんでいると。
「…………さ、あんた…………だよ!」
合唱部の歌声とは全く違う声が廊下の奥から聞こえてきた。
何て言ってるのかはわからないけど、けんかのような雰囲気だ。
やべ、関わりたくない…………。
そう思ってこっそりとその場を立ち去ろうとしたとき。
「………し、知らないもん…………」
はっきりと聞こえた声は、聞き覚えのある声だった。
最初のコメントを投稿しよう!