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「なによあんた、西原先輩に取り入ったりなんかして!」
と、意味のわからない反論が来た。
由真ちゃんが、西原先輩に?
別に取り入ったりなんかしてないと思うけど。
面倒だなーコイツ、と思った瞬間由真ちゃんが泣き出してしまった。
どうしよう慰めるべきかと思ったけど、スッと西原先輩が由真ちゃんの頭に触れ、スッと彼の後ろにかばった。
それはまさに王子様、そのものの仕草で。
いや、やっぱりあたしここにいる必要ある?と思う。
その一連の動作に、由真ちゃんにたかってた女が頬を染める。
バカバカしい。なんだコイツ。
「ねーあんたさー、由真ちゃんになんの用な訳?」
とりあえず何もせずにすごすご出ていくのも気分が悪いので、用だけは聞いておいてあげようと声をかける。
あたしまだ、『のっ?』しか言ってないし。
「いや、別に…………」
西原先輩がいるせいか、女がしり込みした。
「今度さー」
あたしは一歩、彼女たちに近寄る。
ドンッ!と右手を自分の後ろの壁に叩きつける。
思った以上に大きな音がして、ヒッと怯む彼女たち。
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