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「うるさいです。もう、あっちいってください。あたし先生に呼ばれてるんです」
そう言うと、はいはい、といまだ含み笑いをしたあと、ちゃんと冷やすように、と釘を指した。
その後ろ姿を見て、「わかってますよー」と言わんばかりに、べーを返してやる。
なんだ、あれ。
なんだか腹が立つ。
あたしはふんっ、と顔を背け、苛立ちをつれて職員室へと入った。
「太田センセ」
あたしが呼び掛けると、先生は机から顔をあげて、おお、成瀬待ってたぞ!と声をあげた。
「それにしても成瀬、遅かったな?なんかあったのか?」
そう言われてふっ、と職員室の時計を見た。17時ちょっと前。
放課後になってすでに30分以上が経過していた。
時計から先生へと視線を戻し、しばし考える。
由真ちゃんのことを言うかどうか、だ。
でもなぁ。
先輩がいたし、あたしもこれ以上近づくなって牽制したし…………。
これでまた何かしてきたら、彼女らの神経を疑うしかないだろう。
それに、由真ちゃんに先生に言っていいか聞いてないし、そもそもあいつらの名前知らないしな。
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