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「成瀬?」
うーん、と考えて言わないことにした。
「いやー、合唱部の音楽に聞き覚えがあってですね、このまま空を翔べたらなぁ、って考えてました」
えへへ、と笑ってみせると。
「頭の中身も空まで翔んでいくなよ」
と、真面目に返されてしまった。
「ところでさ、成瀬」
「はい」
「お前、生徒会に興味ないか」
「はあ? なに会ですか?」
うまく聞き取れなかったあたしに、太田先生は呆れたように言う。
「まさかほんとに頭の中身だけ空まで行ったんじゃないだろうな?
生徒会だよ、生徒会!」
「はあ?
いえ、特に興味はないですが」
「そうか………ま、でも、俺はお前を推薦するから」
「え?じゃあなんで聞いたんですか!?」
言うと、けらけらと先生が笑う。
「一応、聞いとかないと不味いだろう?」
いえ、聞いたあとに生徒の意思を無視するほうがまずいです。
と反論しようとして、まあ、あくまで推薦するだけだから、と先生はまた豪快に笑ったので機会を失ってしまった。
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