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「俺を誰だと思ってるの?」
「……………」
「1年に部活の後輩がいるから聞いたんだよね。
ひとりは、髪が長かったでしょ。つり目。軽くアイラインしてたよ。胸ポケットにハンカチ入れてた。
もうひとりは、ショートカット。ちょっと茶髪だったよね。話し方も上から目線っていうか、高圧的だったし。お嬢様と言うよりボーイッシュって感じ。
ネクタイ見たらふたりとも商業科ってことに間違いはなさそうだった」
「……………」
あたしは先輩の分析と観察力に、呆気にとられるのを通り越して青くなった。
確かに、見たことのない生徒だったから商業科だろうことはあたしもわかった。
だけど。
胸ポケットにハンカチが入ってたかどうかなんて昨日のことなのに全く思い出せない。
「すごい、ですね………」
「そうかな?
だけど、あんなのって許せないよね。いくらなんでもさ、2対1ってね」
それには久々に先輩に同感だった。
確かに、あれはよくないと思った。
由真ちゃんじゃなかったら、あんなのには絶対関わらないけど。
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