椿高校 1年生 10月

13/35
前へ
/428ページ
次へ
「でも、なんだったんですか?用事。由真ちゃんに突っかかることなんてあります?」 由真ちゃんは見た目、とても美人でどちらかと言うと消極的。 彼氏だったら守ってあげたいと思うタイプ。 どう考えてもトラブルメーカになるとは思えないけど。 「あんたさ、いい子ぶってうざいんだよね」 先輩が、どっちの子の声音かはわからないが、その子の口まねをして言う。 どっちの子もよく知らないので、それが似てるかどうかの判別はあたしにはできないけど。 昨日の声も全然聞こえなかったし。 「わお、悪質」 「成瀬美波、長瀬優一先輩、西原辰徳先輩、あんたのまわり、贅沢すぎんのよ!」 さらに口まねは続く。 「は?なんであたしだけ呼び捨てなの。そこ、美波ちゃんとか、美波さんとか言うべきでしょ」 「そこ、普通突っ込む?」 よく知りもしない子に呼び捨てされて憤慨するあたしに、先輩は失笑した。 「ま、それだけ目立つ存在ってことだろう。だから美波も気を付けなよ」 もっとも、と前置きしつつ先輩は自分が座る机と椅子を配置する。 「美波に『あんなこと』があっても、俺らが助ける隙はないだろうけどな」
/428ページ

最初のコメントを投稿しよう!

171人が本棚に入れています
本棚に追加