171人が本棚に入れています
本棚に追加
フッと先輩が笑った。
確かに、そうかもしれない。
由真ちゃんのように可憐でもないし、体型も空手のお陰でガッシリしてるし、身長も体重も女子の平均よりはるかにある。
まあ、そうですね、と返事しようとした時、音楽室の扉があいた。
「おー、ふたりともお疲れ」
入ってきたのは長瀬先輩だ。それから数秒遅れて由真ちゃんも来た。
「由真ちゃん大丈夫?」
さっきまですっかり忘れていたことを棚にあげてあたしが聞くと、由真ちゃんがにこりと笑う。
「うん、大丈夫。
あたしこそ、なんだかごめんね………。昨日、助けてくれたんでしょ?」
「あぁ、もうそのことは良いわ」
あたしは由真ちゃんに、ヒラヒラと片手を振った。忘れてくれの合図だ。
長瀬先輩はおそらく昨日のことを西原先輩に聞いているのだろう。
音楽室の隅でふたりでボソボソと話しているけど、内容は聞こえない。
「あのね、美波ちゃん」
「うん?」
お弁当を広げるための机と椅子を配置しながら、由真ちゃんが言った。
最初のコメントを投稿しよう!