エピローグ

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あたしたちはまだ高校生で。 本当の恋も本当の自分も知らないのかもしれない。 だけど。 それでもあたしはあたしらしく生きていけたらそれでいい。 「小説家のレフ・トルストイによると。 十人十色というからには心の数だけ恋があってもいいんじゃないかしら」 人間にも個人差があるように、恋にもそれぞれ特徴がある。 あたしと長瀬先輩。由真ちゃんと西原先輩。 決して甘い恋ではないけれど。4人分の恋がそこにはある。 びゅうと再度、木枯らしが吹いた。 その風によって制服が左右に揺れる。 あたしは空を見上げた。 そこには秋の、高い高い空が無限大に広がっている。 空に浮かぶ雲が、まるで地図みたいに見えた。 雲は天気によって、風によってその姿を自由に変える。 これから生きる未来がどんな険しい道だとしても、そんなふうに順応できるあたしたちでありたい。 そして。 自分なりのしあわせのカタチを見つけるんだ。 fin.
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